いぬだ。
まっくろいいぬ。
おおきないぬ。
としをとったいぬ。
としをとったおおきなまっくろいいぬ。
口が,ぱかっとあいていることが多い。
目がちいさく,ほとんど見えない。目が見えないと,ずんぐりとまっ黒い,得体の知れない感じ。目が見えると,思いのほか小さくて,かわいい。
おじいさん「そんな汚い犬撮とってんのかい。良かったなぁーお前。」
ワタシ「立派な犬ですね,一瞬樺太犬みたいに見えました」
おじいさん「あーほれ,後ろに猫もいるわ」
ワタシ「! あっほんとだ」
ちらっとワタシの方を見る。しかし,あまり関心はない様子。猫の方が先にワタシがいるのを分かった上で近くまできているので,ワタシが気がついたからって,別に今さら距離を取るでもない。
ぴたっと座り,じっと集中しはじめたなと思った瞬間,駆け出した。
向こうからカートを引きながら歩いてきたおばあさんのところへまっしぐら。
おばあさん「ちゃんと待ってるんだわコレ。(猫はおばあさんの足にベタベタからみつく)ホラ邪魔だ行け行け,歩けないべ。(握り拳で大きさを示して)こんな小っちゃい頃からいるんだわこの野良。150円の粒々(キャットフード)やったら,オレが1ヶ月入院してた後も覚えてたわ。ふだん魚の骨やるんだ。オラオラ歩けないべ。行くべ。」
ワタシ「<各所で相づち>」
おばあさんは,良い言い方が浮かばないけれど「ゴミのおばあさん」なんだろうな。押しているカートは,必要なものが入っているのではなくて,拾ったものが入っている。「魚の骨」は,近所の食堂のものだろう。別に誰に迷惑をかけるのでもなく,そういうことをしているおばあさんなのだろう。猫も,そういうおばあさんを慕っていて,夕方のこの時間になるとこの辺で,おばあさんを待つのだろう。
おばあさん「オラオラ
もごもご・・・ (遠くて聞き取れない) 」
ワタシ「 さ よ う な ら 」。
YES MY BUT にも似たような写真をUPしました。