つる草が壁一面にはびこっている

plaster.exblog.jp
だいたいにおいて函館のシャシンです。
by plaster_er
プロフィールを見る
画像一覧
Top ;Log-in
■ 寿都の風車
2009年 08月 27日 |
a0062697_1923518.jpg
寿都町にあるエネルコン(ENERCON ドイツ)の230Kw風車(定格出力風速13m/s)。
すぐ近くにある温泉施設「寿都温泉ゆべつのゆ」などに電力を供給しているとのことです。寿都は日本海からの強風に加え、噴火湾から日本海に抜ける風(=だし風)が収束する場所にあり、風力発電にとってはいい風が吹く好立地とのことです。そのためか、他にもいろいろ風車があります。
これは比較的初期のもので、平成11年に完成。10年選手とは言えけっこうキレイです。オリンパスじゃないけど、E-30という機種のようで、ENERCON製ではもっとも小型の風車だったようです。

支柱高36.6m、ローター直径30m。
設備利用率はおよそ20%弱。なかなかです。
カットイン風速2.5m/s、カットアウトは看板に書いてなかったので分かりません。
NEDOの資料では単体で45,800ドイツマルクとある。って、もうユーロになってるんだから平成10年前後のドイツマルクの為替レートなんて今さら分からないなぁ。
と思ったら便利なデータベースがあるもんで、どうも60円前後だった様子。300万弱かな。設置工事費などを含めた総工事費は分かりません。

ぱっと見て、なんと言ってもこのスピナー(先端のカウル)が妙にでっかいところが特徴でしょう。
a0062697_20584588.jpg
なにかレーダーでも入っているかのようなカタチです。
図面がないので、この変わったカタチの由来は想像するしかないんですけど、たぶんこんなような理由でしょう。
(以下、ごちゃごちゃと書いてますがよしなに)

以前に出力制御のハナシはしたでしょうか。

所定の風速を超えると(この風車では13m/s)、風車は「スピード落とす」制御を始めます。さらに風速が強くなると、風車は「止まる」ことになっています(カットアウト)。
なんだ風力発電のくせに風が強けりゃもっと発電すればいいのに思ってしまいますが、例えば風速が2倍になると風車にかかる力はその2乗になり、発電量はその3乗になるという法則があって、風車に無理がかかります。
いや、でもそんなに発電できるんならやっぱり回せ、ということになりそうですが、そういう強い風というのは、滅多に吹きません。
風車を設置しようという際は、必ず事前に風況調査を行うのですが、その時「風速出現確率」も必ず調べます。何mの風が一日にどのくらい吹くのか、1ヶ月ではどうか、1年ではどうか、という具合です。
滅多に吹かない強い風に対応して羽を回そうとすると、滅多にないことのためにギアボックスを強化し発電機の容量を上げるなどしてすべての部材を強化していくと、えらいコスト高になるのは当然です。滅多にない風が吹いたら、その時はあきらめて止めよう、という考えのもとで風車は作られています。

そのスピードの落とし方=止め方(=出力制御)は何通りかあるのですが、大きく失速制御(ストール制御)とピッチ制御に分けられます。ストール制御は遠心力などの作用でブレードの形状を変えて揚力(回転力)を喪失させる仕組みで(例:松前町のデンマーク・MICON社製風車)、ピッチ制御はブレードの角度を変えて(極端なときは風向きに対して平行にする)回転力を生じさせないようにする仕組みです。角度の変更は電動または油圧で行うのが通常です。そのため、ストール方式よりも機構が複雑になります。

で、やっと変な形のハナシにたどり着くと思うんですが、このスピナーの中には、可変ピッチ用のモーターなりサーボなりギアなりが入っていてこんなにでっかくなってるんじゃないかと思うんです。
風車メーカーとして先行していたのは当時も現在も、粉引き風車に発電機をはじめにつないでみた国であるデンマークで、累積販売シェアは40パーセントを超えていました。デンマーク風車の出力制御はほとんどがシンプルで安価なストール方式です。
一方のENERCONは、ピッチ方式を採用することにしたんでしょうが、当時の技術ではユニットを小型化できず、こんなカタチになったのだろうなと。



一言で言えば、しみじみと初期電動ピッチ制御風車なんだろうなあ、と。





a0062697_22215651.jpg