つる草が壁一面にはびこっている

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だいたいにおいて函館のシャシンです。
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■ 牧草ロール と 角山
2006年 07月 07日 |
この時期,北海道のあちこちで,牧草ロールが見られることと思います。
特に,札幌近辺はここしばらくは晴れの日が続いたので,絶好の「ロール日和」だったはずです。ありがちと言えばそうかもしれませんが,ロールが広々とした牧草地に転がっている様子は,北海道っぽい景観につきものかもしれませんね。

牧草ロールとは,牧草を刈って,円柱状に整形したもので,もちろん牛の餌になるものです。
こうした牧草の刈り入れは,年に2,3回行うようで,この時期のものは「一番草」と言います。
年に何回もやるとは,酪農家も本当に大変でしょう。
天気も気にしつつ,雨が降りそうであれば,もしかして徹夜してでも作業するのかもしれません。

見るだけのワタシとしては,普段見慣れたところに,オブジェのように現れて,なかなかイイものだと思っております。
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  こないだ通った高岡の牧草ロール。この写真はお気に入り♪

さて,手近な牧草地帯はいっぱいあるのですが,江別市の角山というところに行ってきました。
たまにいくのですが,放棄されたかのように見えた草地があって,それを確認したかったということもあります。

まず,牧草地はどうか。
あ,やっぱり使われていないようだ。
後継者がいないか,廃業したのか,単に休耕中なのか…
ここの土地は,楽なところではない。
いや,誰だって楽なことなんて滅多にないのだろうけど。
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   木だって楽じゃない

さて,こんな牧草ロールもある。
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白いフィルムでグルグル巻きになった牧草ロールと,普通のもの。

 基本的には,牧草は,そのまますぐ食べさせるために刈り取っているのではなくて,保存の必要もあるし,発酵させてより栄養価を高める必要もあります。発酵させた飼料のことをまず,サイレージと言います。
 語感で想像できるように,サイレージはサイロで作ります。これまた,牧歌的で,北海道らしいイメージかもしれません。サイロ,っていうのは粉「砕」した牧草などを入れる「炉」なのかな,と思いましたが,調べても分かりません。それとも,どっかの外国語かな。サイロ,ワタシも,好きです。

 ただ,サイロの建造や維持には費用がかかるし,重たい牧草を詰めるため,その崩壊事故がよくあることや,牧草を発酵させる乳酸菌(嫌気性)のため,サイロ内での酸欠事故が起こったりと,最近はあまりサイロは使われなくなっています。また,現代的な農業用機械との取り合わせが悪くなっているのも,衰退の理由のようです(機械は平面移動するのに,サイロだと上下移動しなければならず,そこで人手がいる)。だから,古いものが残っていたとしても,あまり使われていません。
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   角山は石狩川と豊平川に挟まれた地域です
 
 今は,サイロの代わりに,フィルムで牧草を密閉して,その中で発酵させて,サイレージを作るこの方法が普及するようになりました。そういうわけで,白い牧草ロールがあちこちに出現したと。やってることは,サランラップをグルグル巻くのとほとんど同じで,ただそのラップが白いということだけです。あ,別にフィルムは白だけではなく,発酵の温度調節上必要なら,黒のフィルムも使うし,たまには,白黒,というのもあります。包んでしまえば,露天に置いとけばいいだけです。この方式では,ロール一個一個が単体のサイロであり,この方式で作ったサイレージのことをロールベールサイレージと言うわけですな。
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   角山の牧草ロール。見事な配置具合。これからラッピングするのだろう

 ラップ代などの部材は,一個につき800円程度。ラップして1ヶ月くらいすると食べられる。
 牛というのは,年齢などによっても違いますが,これを20日~30日くらいで一個食べるらしい。1ヘクタールの牧草地からは,ロールが約20個(230kg換算)収穫できる。50頭飼育して,冬期間(8ヶ月)だけの給与だとしても,50*8個必要になるのか…。やっぱり大変だ。

 いいことづくめの見えるロールベール式の方法も,やっぱりいいことだけではないようです。
 刈り取り機,ロールベーラー(ロール成形機),ラッピングマシン,それらを牽引し,ロールを運搬することのできる動力を備えたトラクタなど,一貫した機械化を図らなければやる意味がない。その導入費用は大変なものでしょう。
 品質を一定させるのにも気を遣うようで,ロールごとに水分量・発酵状態が異なっていたり,ロール内の水分が下部に溜まって質を落としたり,ということもあるようで,日本でやるにはリスクが多すぎるという主張もありました(イギリス+オーストラリアがこの方式の発祥)。



のどかな景色にも,いろいろその背景はあるものですね。
たぶん,世の中,なんでも,そうなんです。


ただ,そういう短所を,牧草を粉々にしながらロールにしたらいいんじゃないか,とか,牧草じゃなくて裁断したトウモロコシでロールベールサイレージを作ったらいいんじゃないか,とか,いろいろと克服しようとする動きもあるようです。


うーむ,ニンゲンというのは,黙ってないなぁ,とも思いました。


参考資料 牧草用サイレージラップフィルム 取扱マニュアル
(ホクレン施設資材部 資材課)など